大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)860 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人伊東長一郎の上告趣意は末尾添附別紙記載の通りでありこれに対する当裁

判所の判断は次の如くである。

公訴の提起は書面による要式行為であるがそれは一旦適式にされれば足るのであ

つて必ずしも常にかかる書類の現存することを絶対的要件とするものではない。そ

うして書面による公訴の提起その他公判期日外の訴訟手続の有無及び適否について

は刑訴法五二条の制限なく他の資料による立証をもとより妨げるものではないと解

すべきである。然るに原判決挙示の各書類を綜合すれば本件被告人に対し被告人及

び犯罪事実を特定した適式な起訴状による公訴の提起があつたこと明らかである。

なお記録編綴の所論起訴状謄本の写はこれによつて公訴の提起がなされたものでは

なく唯単に本件公訴提起手続が適法になされたことの証明資料として添附されたも

のに過ぎない。以上の次第であるから本件につき適法な公訴の提起のあつたことを

認めた原判決の判断は正当である。されば所論憲法違反の論旨は既にその前提にお

いて理由がないから論旨の理由のないこと明らかである。

被告人の上告趣意は本件について公訴棄却の裁判を願い度いというのであつて明

らかに刑訴法四〇五条所定の上告理由にあたらない。

なお本件について同四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて同四〇八条一八一条を適用し全裁判官一致の意見により主文のとおり判決

する。

昭和二六年二月六日

最高裁判所第三小法廷

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裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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